2026年2月4日水曜日

団地は修繕できずに朽ちるのか?現場を見てきた建築家の実感|連載:暗く考えてない?実は明るい団地の暮らし

団地とリノベーションに詳しい建築家/不動産屋の吉永です。 

団地を購入して暮らし始めるにあたり、「将来、建物がボロボロになって長く住めないのではないか」と不安に感じる方も少なくないと思います。近年、分譲マンションにおいて修繕積立金が不足し、十分な修繕が行えず、廃墟のように傷んでいく事例が報道されることもあり、より古い時代に建てられた団地に不安を感じるのは無理もありません。
では、実際の団地の状況はどうなのでしょうか。


関西の分譲団地を継続的に見て回っている実感としては、致命的な状態に陥っている団地はごくわずかです。築年数相応に傷みが目立つと感じた団地でも、数年後に訪れると、外壁や共用部がきれいに修繕されている例をよく目にします。

多くの団地は築40年を超えています。一般に、外壁塗装の塗り替えや防水改修は12〜15年周期で実施され、水道管、照明、エレベーターなどの設備更新は築30〜40年程度で行われます。つまり、団地の多くはすでにこれらの大規模修繕・更新を一通り経験しています。現在の建物の状態や設備のコンディションが保たれているのであれば、適切な修繕が継続的に行われてきた証左と言えるでしょう。

いわゆるエレベーターのない5階建て団地の場合、高額になりがちなエレベーター更新費用や給水ポンプ更新費用がもともと不要です。そのため、一般的な分譲マンションに比べて修繕内容がシンプルで、修繕積立金も比較的少額で済むという特徴があります。設備構成が単純な分、想定外の大規模トラブルが発生しにくく、月々の負担も抑えやすい傾向にあります。

さらに、団地はすでに複数回の修繕を経験しているため、必要な費用感や進め方が管理組合内で蓄積されています。急に修繕が進められなくなるといったトラブルも比較的起こりにくいのが実情です。

この「修繕の経験値の高さ」は、将来の維持管理がまだ未知数な新築マンションにはない、団地ならではのアドバンテージだと言えるでしょう。

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2026年1月28日水曜日

団地は建て替えられる?――実はそう簡単ではありません|連載:暗く考えてない?実は明るい団地の暮らし

団地とリノベーションに詳しい建築家/不動産屋の吉永です。 

団地住まいを検討するものの「すぐに建て替えられてしまうのではないか」と不安に感じて躊躇する方もいらっしゃいます。団地には築50年を超えるものが増え、なかには築70年を迎える団地もあります。新築志向の強い日本において、そのような心配を抱かれるのも無理はないでしょう。では、実際のところはどうなのでしょうか。

建て替えた団地の例|ブリリア多摩ニュータウン

分譲団地に目を向けると、ここ十数年で建て替えが実現した事例は、私の知る限り極めて少ないのが実情です。団地の建て替えには、居住者の意見を集約し、多くの賛同を得る必要があり、その過程には膨大な時間と労力を要します。
さらに、事業費を賄うために販売用住戸を増やして建て替えを行ったとしても、全国的に住宅が余っている状況のなかで、駅近でない立地の場合、想定どおりの価格で売れるのか、十分な戸数が埋まるのかといった不安要素もあります。

建て替えた団地の例|ブリリア多摩ニュータウン

その結果、計画がある程度進んだものの、最終的にはとん挫してしまうケースも少なくありません。
こうした背景を踏まえると、「団地は一般的に建て替えられるものだ」と思い込み、最初から選択肢から外してしまうのは、少しもったいない判断だと言えるのではないでしょうか。

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2026年1月13日火曜日

「団地=危ない」は本当? 現地で見えるもう一つの風景|連載:暗く考えてない?実は明るい団地の暮らし

団地とリノベーションに詳しい建築家/不動産屋の吉永です。

団地は治安が悪い、というイメージを持たれている方も少なくないようです。では、実際はどうなのでしょうか。

竹の台団地

たとえば、団地の中にある公園で、近隣の保育園と思われる子どもたちが、保育士さんに連れられて遊んでいる光景をよく見かけます。また、団地の外に住む人が団地内の商店街に買い物に来たり、地域のお祭りが団地の敷地内で開かれたりすることも珍しくありません。

富田団地 夏祭り

もし本当に治安が悪ければ、周囲の人たちが日常的に団地の中へ足を踏み入れるでしょうか。マンションであっても戸建ての住宅地であっても、雰囲気のよくない場所は存在します。治安の問題は「団地だから」という理由だけで決まるものではないのです。

富田団地 八百の行列

もちろん、いくつも団地を見て回ると、治安が悪いとまでは言えなくても、どこか落ち着かない雰囲気の団地に出会うことはあります。しかし、それがすべての団地に当てはまるわけではありません。
では、住んでみたいと思った団地の治安を、事前にどうやって見極めればよいのでしょうか。

町田山﨑団地 掲示板

もっとも簡単で確実な方法の一つは、団地の掲示板を見ることです。治安に問題があれば、注意喚起の貼り紙が出ているはずです。その数や内容、言葉遣いの強さなどから、その団地が抱えている実情をある程度読み取ることができます。

イメージではなく、現場の情報から判断することが、団地選びではとても大切なのです。

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2026年1月7日水曜日

団地は空き家だらけ?UR賃貸と分譲団地で異なる空き家の事情|連載:暗く考えてない?実は明るい団地の暮らし

団地とリノベーションに詳しい建築家/不動産屋の吉永です。

「団地は人気がなく、空き家だらけなのではないか」と思われている方も多いのではないでしょうか。
たしかに、立地条件があまり良くない団地では、そうした傾向が見られる場合もあります。しかし、すべての団地がそうだというわけではありません。

UR新千里北町団地

一昔前には空き住戸が目立っていたUR賃貸の団地も、近年は状況が大きく変わっています。物価高が続く一方で収入はなかなか増えないという社会状況の中、リーズナブルな家賃で住める団地の価値が見直されてきたためです。その結果、現在では空き住戸が大幅に減っています。

UR新千里北町団地

特に駅から徒歩圏内に立地する団地では、空き住戸がゼロ、もしくは数戸しかないというケースも珍しくありません。大阪における賃貸住宅全体の空き家率は10〜20%程度と言われていますが、総戸数が1,000戸を超える団地であっても、空き住戸が数十戸しかない例もあります。こうした状況を見ると、団地は賃貸住宅の中でも比較的空き家の少ない住宅形態だと言えるでしょう。

UR新千里北町団地

一方で、分譲団地はどうでしょうか。夜に訪れると、窓に明かりがついていない住戸が目立つ分譲団地も少なくありません。
例えば、堺市北区にある新金岡団地は、最寄りの大阪メトロ御堂筋線・新金岡駅から近く、商業施設や病院もそろった利便性の高い立地にあり、根強い人気があります。それにもかかわらず、夜に訪れると空き家が多いような印象を受けます。

新金岡団地

実際に団地不動産には販売中住戸の問い合わせが入りますが、夜の印象とは裏腹に、売りに出されている住戸数はそれほど多くありません。地元の不動産会社に話を聞くと、「住んでいなくても、なかなか売りに出されない」のが実情だそうです。その理由としては、「親の代からの家財がそのまま残っている」「売却しても高値が期待できない」といった事情が挙げられます。
つまり、分譲団地の空き家問題は、「人気がないから」ではなく、空き家であっても市場に出てこないことが大きな要因なのです。

新金岡団地

以上から、「空き家だらけ」「空き家だらけなのは人気がないから」と思い込んで、最初から団地を住宅の選択肢から外してしまうのはとてももったいないことなのです。

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2025年12月24日水曜日

UR賃貸の団地はリノベーションしないと住めない?実際の内覧で分かること|連載:暗く考えてない?実は明るい団地の暮らし|

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。

UR賃貸の入居希望者からの問い合わせでは、「リノベーション住戸を希望」と記載されているケースが非常に多く見られます。

背景を伺うと、「団地は古く、内装や設備も昔のままなのではないか」というイメージを持たれていることが、その理由になっているようです。

花園団地 通常の住戸

しかし、UR賃貸の団地では、前の入居者が退去した後に必ず室内のクリーニングが行われます。さらに、定期的に内装や設備機器の更新も実施されており、現在の生活水準に合った仕様へと整えられています。必ずしも「リノベーション住戸」でなければ快適に住めない、というわけではありません。

新千里東町団地 通常の住戸

実際にUR賃貸の団地へ内覧にお連れすると、リノベーション住戸ではない通常の住戸であっても、「想像していたよりもずっときれい」「これなら十分」という声をいただくことがほとんどです。

総持寺団地 通常の住戸

「団地は古い」「住むならリノベーション住戸しかない」と思い込み、選択肢を狭めてしまうのは、実はとてももったいない判断かもしれません。

UR賃貸を検討されている方は、まず一度、実際の団地住戸を内覧し、ご自身の目で確かめてみることをおすすめします。

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