2026年7月22日水曜日

『まちかど給水塔図鑑』で知る給水塔の面白さ

団地とリノベーションに詳しい建築家/不動産屋の吉永です。

先日、団地愛好家仲間の高水湧基さんによる『まちかど給水塔図鑑』刊行記念イベントに参加してきました。



前著『団地の給水塔大図鑑』では団地にある給水塔がテーマでしたが、今回は団地に限らず、街なかにあるさまざまな給水塔が取り上げられています。まさに「まちかど図鑑」の名にふさわしい内容です。


給水塔の魅力は、そのユニークな形だけではありません。なぜその場所に給水塔が必要だったのか、鉄筋コンクリート造なのか、鉄製なのか、それともFRP製なのか。さらに、特徴的な形にはどのような意図があり、周囲の景観にどのような配慮がなされているのか――。給水塔は単なる水道施設ではなく、建築や土木、都市計画など、さまざまな視点から楽しめる存在であることを改めて感じました。


団地にも給水塔が残る場所は少なくありません。しかし、水道設備の更新に伴い、その役目を終える給水塔も増えています。
一方で、取り壊しには大きな費用がかかることに加え、地域のシンボルとして親しまれていたり、防災行政無線のスピーカーを設置する場所として活用されたりするなど、新たな役割を担いながら残されている例もあります。


団地を訪れる際は、ぜひ給水塔にも目を向けてみてください。住棟だけでは気付かなかった、その団地ならではの歴史や個性が見えてきます。団地巡りがさらに楽しくなるはずです。

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2026年7月7日火曜日

団地訪問記|窓を開けると須磨アルプスが広がる住まい、高倉台団地

団地とリノベーションに詳しい建築家/不動産屋の吉永です。

先日、神戸市須磨区の高倉台団地で売却のお手伝いをすることになったお部屋の調査へ行ってきました。 室内には築年数相応の使用感はあるものの、丁寧にお掃除をして畳を新しくすれば、十分気持ちよく暮らせそうな状態でした。団地の住まいは、きちんと手入れをすれば、まだまだ住み継ぐことができます。


この日は梅雨の晴れ間で、まさに団地日和。窓を開けると涼しい風が部屋を通り抜け、とても心地よい時間が流れていました。 そして、このお部屋の魅力は眺望です。台所の窓からは須磨アルプスを一望できます。天気が良く空気の澄んだ日には、その先に瀬戸内海まで見渡せるかもしれません。


こうした眺めや風通しの良さは、実際に現地を訪れて初めて実感できる団地の魅力だと改めて感じました。

公開の準備が整いましたら、団地不動産のホームページとこのブログでご紹介いたします。ご興味のある方は、ぜひご覧ください。

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2026年7月1日水曜日

団地訪問記|街に開かれた心地よい空間、森之宮団地

団地とリノベーションに詳しい建築家/不動産屋の吉永です。

先日、URのトークショーに出演した際、少し早めに会場のある森之宮団地へ到着しました。時間に余裕があったので、中庭のベンチに座ってのんびり過ごしていました。


森之宮団地は、高層住宅だけで構成された団地です。高い建物に囲まれると圧迫感がありそうな印象を受けますが、実際に歩いてみると不思議と開放感があります。むしろ、ほどよく囲まれていることで安心感さえ覚えました。



その理由は、建物の配置にあるのかもしれません。住棟をきっちり四角く囲むのではなく、少しずつずらして配置することで視線が抜けます。さらに、1階の一部がピロティになっているため、建物の向こう側まで見通すことができ、空間がより広く感じられます。



もう一つ印象的だったのは、団地の住民ではなさそうな方が団地内を行き交っていたことです。団地の先にある大阪公立大学のキャンパスや森之宮第2団地へ向かう近道として利用されているのでしょう。

最近のマンションでは、防犯上の理由から敷地内への立ち入りを制限しているところも少なくありません。一方、森之宮団地は街の動線の一部として自然に人を受け入れています。



こうした「街に開かれた空間」であることも、この団地に窮屈さを感じない理由の一つなのではないでしょうか。

団地の魅力は建物だけではありません。人の流れや街とのつながりまで含めて設計されていることを、森之宮団地を歩きながら改めて実感しました。




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2026年6月25日木曜日

マンションが狭い時代だからこそ団地の間取りを見直す|連載:暗く考えてない?実は明るい団地の暮らし

団地とリノベーションに詳しい建築家・不動産業の吉永です。

住生活基本法という法律があります。これは「豊かな住生活の実現に向けた国の基本理念」を定めたもので、5年ごとに「住生活基本計画」を見直し、住宅政策の指針としています。

2026年の改正では、「健康で文化的な生活を送るために必要な最低限の広さ」を示す最低居住面積水準(2人以上の世帯は「10㎡×人数+10㎡」)が廃止されました。

背景には、少人数世帯の増加や建築費の高騰があるのでしょう。同じ予算で確保できる住戸面積が小さくなっている現在、国が定めてきた基準と実際に供給されている住宅との間にズレが生じてきたのかもしれません。

実際、最近の分譲マンションでは70㎡を下回る住戸も珍しくありません。この広さは、広めの分譲団地とほぼ同程度です。


団地の間取りは、現代のマンションとは少し考え方が異なります。すべての居室に窓を設け、風通しや採光を確保することが基本となっています。そのため、限られた面積の中でも開放感があり、実際の広さ以上にゆったりと感じられることがあります。

また、団地を選ぶ方の中には、玄関から長い廊下が伸び、その両側に部屋が並ぶ近年のマンションの間取りが好みではないという方もいます。むしろ、玄関を中心に各部屋へアクセスできる団地のシンプルな構成の方が暮らしやすいという声も聞かれます。


市場に出回る住宅がコンパクト化していく中で、団地の間取りは決して時代遅れではありません。むしろ、限られた面積を有効に使う工夫や、風通し・採光を重視した設計は、改めて評価される可能性があります。

住宅の広さがますます貴重になる時代だからこそ、団地という選択肢を見直してみてもよいのではないでしょうか。

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2026年6月16日火曜日

なぜ私は団地に惹かれるのか|「団地への招待」上映会と「昭和レトロキッチン見学会」イベントレポート

団地とリノベーションに詳しい建築家・不動産業の吉永です。

さる6月14日、「団地への招待上映会」と「昭和レトロキッチン見学会」のトークショーに出演してきました。


今回のテーマは、日本住宅公団が生み出した住まいのイノベーションを振り返りながら、その価値を未来へどうつないでいくかというものでした。

上映された映画『団地への招待』には、団地での新しい暮らしに希望を抱く若い夫婦の姿が描かれています。当時の団地は、単なる集合住宅ではなく、多くの人にとって憧れの住まいでした。


一方で、日本住宅公団には戦後の深刻な住宅不足を解消するという大きな使命がありました。短期間で大量の住宅を供給しなければならないという厳しい条件の中で、全国各地に団地を建設していきます。

しかし、公団が行ったのは住宅を大量に供給することだけではありませんでした。例えば、当時としては先進的だったステンレス製の流し台を採用するなど、新しい暮らし方や住まい方も同時に提案していました。


社会課題を解決しながら、その先にある未来の暮らしまで示していたのです。そう考えると、団地には今でも学ぶべきことが数多く残されています。目の前の課題を解決するだけでなく、その先の暮らしを提案する。団地はそんな理想を形にした住まいだったのではないでしょうか。

だから私は団地に惹かれるのです。

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