2026年10月6日火曜日

吹田市山田の団地をめぐる|テラスハウスと千里王子高層住宅

団地とリノベーションに詳しい建築家/不動産屋の吉永です。

まだ緑がきれいなうちにと、吹田市山田エリアの団地をめぐってきました。


吹田市で団地といえば千里ニュータウンがよく知られていますが、その東側にも団地が建っていることをご存じでしょうか。千里ニュータウンより後に建てられたものが多く、設備や設えが比較的現代に近いのが特徴です。特に山田駅周辺は、阪急電鉄と大阪モノレールの2路線が利用でき、交通の便にも恵まれています。

今回は、山田駅周辺の団地を二つご紹介します。

一つ目は、テラスハウス型の団地です。調べたところ特に団地としての名はないようです。テラスハウスとは2階建ての住宅がつながった、いわば鉄筋コンクリートの町屋と言ったお趣です。

それぞれ、専用の玄関と南側に専用庭があります。また、棟に挟まれるように専用公園が設けられています。ここにも住宅を建てれば効率がよかったのでしょうが、あえて公園を設けるあたりに当時の団地を建てた人たちの意思を感じます。


木々はとてもきれいに手入れされていて、気持ちのよい空間になっています。

住民の皆さんが大切に維持しているのでしょう。長い年月を経た団地では、建物だけでなく、こうした外部空間がどのように使われ、手入れされているかを見るのも楽しみの一つです。


二つ目は千里王子高層住宅です。
こちらも敷地内の木々がきれいに手入れされています。


特徴的なのは、緩やかにカーブしたバルコニーです。
直線的になりがちな高層住宅ですが、この曲線が建物に柔らかな表情を与え、高層住宅にありがちな圧迫感を和らげています。


バルコニーも比較的ゆったりしているようなので、大阪市内の方向を望む景色を楽しみながら、バルコニーで過ごす時間も気持ちよさそうです。

千里ニュータウンの団地とはまた違った、山田エリアならではの団地の魅力を感じることができました。

団地というと、同じような住棟が並んでいるイメージを持たれがちですが、少し歩いてみるだけでも、さまざまな住棟や外部空間に出会うことができます。

緑のきれいな季節に、団地を歩いてみるのもおすすめです。思いがけず好みの団地に出会えるかもしれません。

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2026年9月29日火曜日

UR賃貸と公営住宅は同じ団地じゃない? 第4回「屋外空間メンテナンスの違い」

団地とリノベーションに詳しい建築家/不動産屋の吉永です。

これまで、UR賃貸住宅と公営住宅の「募集方法」「収入基準」「家賃の違い」についてお話ししてきました。今回は、住宅の「設備」と「屋外空間」についてです。

設備は、昔ほど違わなくなった

昔の公営住宅には、「お風呂がない」という住宅もありました。入居者が風呂釜を持ち込んでいた、という話を聞くこともあります。一方、URは比較的早くから浴室や給湯設備などが整えられていました。

しかし、現在の公営住宅では設備もかなり整備されていて、設備だけを見ると、URと公営住宅の違いは昔ほど大きくありません。

昭和30年代の公団住宅浴室の再現住戸(UR白鷺団地)

MUJI×URにてユニットバスが採用されたケース


違いを感じるのは、団地の外側

私が団地を歩いていて感じるのは、むしろ屋外空間の違いです。

URも公営住宅も、昔の団地には建物の間に広い空地があり、緑地や広場、歩道などがゆったりと配置されています。ところが、その空間をどう維持していくのかには違いがあります。

団地の話をしていると、「昔は住民みんなで草むしりをした」「団地の掃除は住民がやっていた」という話をよく聞きます。これは、住民による共同管理を基本としてきた公営住宅で見られる光景です。

一方、URでは、日本総合住生活(JS)などが共用部分の清掃や植栽の管理を行っています。団地を歩いていると、清掃スタッフが屋外の通路や緑地を掃除している姿を見かけます。そのため、私が団地を歩いて感じる印象としては、URのほうが屋外空間まできちんと整えられていることが多いように思います。このメンテナンスは、ほぼ毎日行われています。

つまり、同じように広くおおらかな屋外空間を持っていても、その維持管理の仕組みが違うのです。

JSクリーンメイトによる清掃の様子(UR新千里北町団地)

団地の魅力は、住戸の中だけではありません。

建物の間にある広い空地や緑、歩道や広場。そうした「団地の外側」まで含めて住環境がつくられているのが、昔の団地の大きな特徴です。

そして、その豊かな屋外空間を誰が、どのように維持しているのか。

そこにも、URと公営住宅の違いが表れているように思います。

参考)『若手お笑い芸人・ロングアイランドが団地に関わるスタッフに弟子入り!クリーンメイト編』URくらいのカレッジより


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2026年9月22日火曜日

UR賃貸と公営住宅は同じ団地じゃない? 第3回「家賃の違い」

団地とリノベーションに詳しい建築家/不動産屋の吉永です。

これまで、UR賃貸と公営住宅の「募集方法」と「収入基準」の違いについてお話ししてきました。今回は、家賃の違いについてです。

一見すると、どちらも「公的な団地だから家賃が安い」というイメージがありますが、家賃の決まり方は大きく異なります。

八潮パークタウン。都営住宅、UR賃貸住宅ほか異なる事業主体による団地が建っている。


公営住宅は「低廉な家賃」が基本

公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して、低廉な家賃で住宅を提供することを目的としています。

そのため、家賃は入居者の収入に応じて決まる「応能」の考え方が基本です。

つまり、

公営住宅=住宅に困っている人に、負担できる家賃で住宅を提供する

という仕組みです。


UR賃貸は「市場家賃」が基本

これに対してUR賃貸住宅は、基本的に市場家賃です。

「URは家賃が安いけれど、それは住宅に困っている人のためではないの?」

と思われるかもしれません。

URの前身である日本住宅公団は、戦後の住宅難の解消に加え、当時としては先進的な住宅を供給する役割を担っていました。公営住宅が低額所得者を対象とする一方、住宅公団は中間所得層を主な対象としてきたのです。

そのため、当初から必ずしも「家賃の安い住宅」だったわけではありません。

現在のURでは、市場家賃を基本として家賃が設定されています。一方で、既存住宅の家賃は段階的に改定されてきたため、築年数の古いURには、現在の市場家賃と比べて割安に感じられる住宅が残っています。


URと公営住宅の役割が近づいている?

制度上は、

公営住宅=低額所得者のための住宅
UR賃貸=市場家賃を基本とする賃貸住宅

という違いがあります。

ところが、築古のURには、広くて比較的リーズナブルな住宅があります。そのため現在では、URも「できるだけ住居費を抑えたい」という人にとって、重要な選択肢になっています。

公営住宅は、前回お話しした通り、収入基準が厳しく、入居も抽選になる場合が多いため、希望どおりに入居することが難しいケースがあります。

その中で、公営住宅の収入基準ほど生活が厳しいわけではないけれど、生活費の高騰などから、住まいの質を大きく下げずに家賃をなるべく抑えたい…そんな人にとって、URは住宅セーフティネットの一つになりつつあるのではないでしょうか。

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2026年9月16日水曜日

UR賃貸と公営住宅は同じ団地じゃない? 第2回「収入基準の違い」

団地とリノベーションに詳しい建築家/不動産屋の吉永です。

前回は、「UR賃貸と公営住宅は同じ団地じゃない?」というテーマで、募集方法の違いについてお話ししました。

今回は、入居資格の「収入基準」についてです。UR賃貸住宅と公営住宅では、収入に対する考え方が大きく異なります。

公営住宅は「収入が基準以下」であることが条件
新金岡の大阪府営住宅(公営)

公営住宅の場合、基本的には、申込者の収入が定められた基準以下であることが入居条件となります。
例えば大阪府営住宅では、一般の世帯の場合、所定の方法で算出した月収額が158,000円以下であることが収入基準の一つとなっています。なお、世帯の状況によって基準が緩和される場合があります。
つまり、公営住宅は、住宅に困っている比較的所得の低い世帯を対象とした住宅という性格を持っています。

UR賃貸は「収入が基準以上」であることが条件
UR都市機構 新金岡団地

これに対してUR賃貸住宅は、基本的に逆です。

申込者本人の「平均月収額」が、URが定める「基準月収額」以上であることが入居条件となります。UR賃貸住宅は、中間所得層を対象とした住宅という性格を持っているのです。

例えば世帯で申し込む場合、家賃が82,500円未満の住戸では、原則として家賃の4倍以上の平均月収額が必要です。家賃6万円なら、基準月収額は24万円となります。

もちろん、URにも貯蓄基準や収入合算など、収入基準を満たすための特例があります。

公営住宅ほど所得制限が厳しくなく、かといって民間賃貸のように高い家賃を負担するのではなく、できるだけ住居費を抑えたい。そうした層にも選ばれているのがUR賃貸住宅です。

つまり、ざっくり言えば、

公営住宅は「収入が基準以下」
UR賃貸住宅は「収入が基準以上」

というように、収入基準の方向が反対なのです。

同じような「団地」に見えても、そもそも誰のために、どのような仕組みで住宅を提供しているのかが違います。

この違いを知っておくと、「団地」という言葉だけでは見えてこない、公営住宅とUR賃貸住宅の性格の違いが少しわかりやすくなるのではないでしょうか。

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2026年9月8日火曜日

UR賃貸と公営住宅は同じ団地じゃない? 第1回「募集方法の違い」

団地とリノベーションに詳しい建築家/不動産屋の吉永です。

9月1日の「踊る!さんま御殿!!」では、「団地で育った有名人」が取り上げられていました。数々の「団地あるある」をおもしろく見ていたのですが、いくつか「おや?」と思うところもありました。というのも、紹介されていた話の中には、「これは公営住宅ではあるけれど、UR賃貸住宅ではありえないな」と思うものがあったからです。

大阪府営(公営)古江台団地


UR賃貸住宅 新千里北町団地

UR賃貸住宅は、日本住宅公団が運営していた時代には「公団住宅」と呼ばれていました。「公団」という名前のため、現在の公営住宅と混同されることがあります。しかし、同じ「団地」と呼ばれる住宅でも、その目的や入居者、募集方法、運営の仕組みなどには大きな違いがあります。

そこで今回から何回かに分けて、「公営住宅とUR賃貸住宅は何が違うのか」を、できるだけわかりやすく紹介していきたいと思います。

まずは「募集方法」の違いについて。
「踊る!さんま御殿!!」を見ていて最初に気になったのが、UR賃貸住宅の空き家募集は、基本的に抽選ではないということです。

現在のUR賃貸住宅は、全国約70万戸のほとんどが、抽選なしの先着順で受け付けられています。新築物件など、一部には抽選で募集される住宅もあります。

一方、公営住宅は、自治体によって募集方法は異なりますが、応募者が募集戸数を上回る場合には抽選となるケースが一般的です。

実は、かつての公団住宅も、人気の高い団地では高倍率の抽選が行われていました。そのため、今でも「公団住宅=抽選」というイメージを持っている方がいるのかもしれません。

しかし、今現在、「抽選で当たる気がしないからURは選択肢に入らない」と考えてしまうのは、ちょっともったいないのです。

現在のUR賃貸住宅は、空き家が出れば基本的に先着順で申し込むことができます。特に駅に近いなど人気の高い団地では、空き家がなかなか出ないこともあります。それでも、希望する団地が決まっているのであれば、募集状況をこまめに確認して、希望する住戸が出てくるのを待つという方法があります。

団地不動産では、「UR賃貸入居サポートサービス」として、お客様に代わって物件の募集状況を確認し、ご希望に合うお部屋が募集に出された場合には、代理で仮予約を行っています。

「この団地に住みたい」という希望がある方は、ぜひご相談ください。

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