2025年12月24日水曜日

UR賃貸の団地はリノベーションしないと住めない?実際の内覧で分かること|連載:暗く考えてない?実は明るい団地の暮らし|

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。

UR賃貸の入居希望者からの問い合わせでは、「リノベーション住戸を希望」と記載されているケースが非常に多く見られます。

背景を伺うと、「団地は古く、内装や設備も昔のままなのではないか」というイメージを持たれていることが、その理由になっているようです。

花園団地 通常の住戸

しかし、UR賃貸の団地では、前の入居者が退去した後に必ず室内のクリーニングが行われます。さらに、定期的に内装や設備機器の更新も実施されており、現在の生活水準に合った仕様へと整えられています。必ずしも「リノベーション住戸」でなければ快適に住めない、というわけではありません。

新千里東町団地 通常の住戸

実際にUR賃貸の団地へ内覧にお連れすると、リノベーション住戸ではない通常の住戸であっても、「想像していたよりもずっときれい」「これなら十分」という声をいただくことがほとんどです。

総持寺団地 通常の住戸

「団地は古い」「住むならリノベーション住戸しかない」と思い込み、選択肢を狭めてしまうのは、実はとてももったいない判断かもしれません。

UR賃貸を検討されている方は、まず一度、実際の団地住戸を内覧し、ご自身の目で確かめてみることをおすすめします。

■お問い合わせ先 建築家不動産 団地不動産担当 吉永健一 お問い合わせフォームはこちら→

2025年12月16日火曜日

古い団地は地震に弱い?|連載:暗く考えてない?実は明るい団地の暮らし|

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。

「古い団地は、大きな地震が来たら壊れてしまうのではないか」
そんな不安の声を耳にすることがあります。では、実際のところはどうなのでしょうか。

ここでは、UR賃貸住宅の公式ホームページで公表されている情報をもとに、団地の耐震性について、できるだけわかりやすく整理してみます。

大きな地震のとき、URの団地はどうだったのか
URでは、阪神・淡路大震災や東日本大震災の際の被害状況について、次のように公表しています。
平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災では最大で震度7の大規模地震を経験しましたが、UR賃貸住宅では、住宅階に大きな被害を受けた事例はなく、ごく一部の棟でピロティ階の柱の破壊が見られたものの、人命に係る被害はありませんでした。また、平成23年3月に東日本大震災が発生しましたが、住宅階及びピロティ階ともに大きな被害を受けた事例はありませんでした。

なぜ、古い団地でも大丈夫だったのか
中には、現在の耐震基準より前の「旧耐震基準」で建てられた団地もあります。それでも大きな被害が出なかった理由について、URでは次のように説明しています。
旧耐震基準で建設したUR賃貸住宅においても、大震災時にも大きな被害を受けなかったのは、旧耐震基準上必要とされる耐震性を確保していることに加えて、1戸1戸の住宅の境に耐震上有効な壁が規則的に配置されていることによって、安全上の余力があったためと考えられています。
※以上元ページはこちら→



今も続けられている耐震診断と対策
URでは、さらに安全性を高めるため、耐震診断を継続して行っています。令和7年3月時点で、その実施率は約99%に達しています。

耐震診断の結果は、団地ごと・棟ごとにUR賃貸住宅のホームページで公表されています。
こちら→住棟毎の耐震診断結果について

耐震性に不安がある場合は、診断結果で
「Ⅳ:所要の耐震性を満たしており、耐震改修は不要」
と判定された建物であれば、安心して住むことができます。

また、補強が必要と判断された建物については、建て替えや耐震補強工事が順次進められており、令和7年3月末時点での耐震化率は約96%となっています。

▽耐震補強の例(東豊中第2団地)



「古い団地=危険」ではない
こうした情報を見ると、UR賃貸住宅は、築年数が古い団地であっても、耐震性についてきちんと確認・対策が行われており、今後も安全性が高められていくことがわかります。

これほど詳しく耐震診断の結果を公開している例は、民間の賃貸住宅や分譲マンションでは、あまり多くありません。

耐震性が心配だからという理由だけで、団地を住まいの選択肢から外してしまうのは、実はもったいないことなのです。

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2025年12月10日水曜日

「団地を買ってリノベーション」記事リスト

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。

2024年から2025年11月まで当ブログにて連載してきた『団地を買ってリノベーションの記事リストを作成しました。

団地を買うところから、リノベーションして引き渡しを受け
るまでの全プロセスについて解説しています。協力してもらう不動産、設計、工務店の選ぶコツについても書いています。

団地を買う方、リノベーションする方はどうぞご参考にしてください。

2025年12月9日火曜日

高齢化する本当の理由は「住み心地のよさ」だった|連載:暗く考えてない?実は明るい団地の暮らし|

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。

前回の記事では多摩ニュータウンを例に20,30代の入居が増えていることについて書きました。若い世代の流入によって、長年課題とされてきた高齢化が自然に解消されるかもしれません。

とはいえ、現時点で高齢化率が高いのは事実です。しかし、団地がなぜ高齢化したのか、その背景をたどると、高齢化は必ずしもネガティブな現象ではないことが見えてきます。


何十年も団地に住んでいる方に話を聞くと、必ずといっていいほど「こんないいところ、出ていきたくない」という言葉が返ってきます。家賃の理由もあるとはいえ、団地は“仕方なく住む場所”では決してありません。

UR都市機構の前身、日本住宅公団のOBの方によれば、当初は入居後15年ほどで戸建てや民間マンションへ移り住むと想定していたそうです。しかし実際には、高齢になるまで数十年住みつづける人が多く、当時の関係者にとっては想像もしていない結果だったといいます。

団地の間取りでは二世帯居住が難しいため、親世代が「こんないいところを出ていきたくない」と住み続ければ、子ども世代は団地を出ざるを得ません。こうして高齢世帯の比率が増え、自然と高齢化が進むことになります。


一方で、子どもが巣立ち、老夫婦には家が大きすぎると感じて引っ越すタイミングで団地を選ぶ人も少なくありません。家賃が手頃で保証人が不要のUR賃貸は、新居として魅力的な選択肢です。駅から多少遠くても、通勤の必要はなくなり、商業施設や医療施設は徒歩圏内にそろっています。高齢期の暮らしとして十分な利便性があるのです。これも団地の高齢化を押し上げる要因ですが、メディアが語るような悲観的な状況とは大きく異なります。

つまり、団地の高齢化とは、住まいとしての団地の“住み心地のよさ”が生み出した結果でもあるのです。


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2025年12月5日金曜日

連載:暗く考えてない?実は明るい団地の暮らし|若い世代が戻り始めた団地

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。

近年、住まいとしての団地が再評価され、団地を選択肢に加える方が増えてきました。一方で、老朽化や高齢化といったイメージから、団地を敬遠されている方もまだ多いのではないでしょうか。

そこで、12月以降の団地不動産ブログでは、団地に関する不安や疑問にひとつずつお答えする連載記事をお届けしていきます。団地に興味のある方や、住もうか迷っている方の参考になれば幸いです。
※写真と記事の内容は関係ありません

今回は「団地の高齢化」をテーマにお話しします。この記事の準備をしている際、興味深いニュースを目にしました。

多摩センターで賃貸業を営む都市農住事業株式会社の寺澤利男代表は「駅近くの物件はすぐに埋まっており、空室は少ないように感じる。コロナ禍以降、都心に住まなくても良い環境にもなっているのでは」と話す。(中略)また、市は転入者(国内)の年齢構成も公表した。20代から30代のファミリー層が増加。20〜39歳までの人が全転入者の約57%を占めている。20代、30代共に他自治体からの転入が超過。0〜4歳は全体の5%を占める。市は「多摩市がファミリー世帯、プレファミリー世帯の受け皿になっている」としている。
記事には、過去に力を入れていた入居促進施策の実施頻度が減ってきているといった指摘もあり、若い世代の流入によって、長年課題とされてきた高齢化が自然に解消される可能性も感じられます。 とはいえ、現時点で高齢化率が高いのは事実です。しかし、団地がなぜ高齢化したのか、その背景をたどると、高齢化は必ずしもネガティブな現象ではないことが見えてきます。 次回は、この「団地の高齢化の背景」について、もう少し掘り下げてみたいと思います。

※写真と記事の内容は関係ありません

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