前回はDIYの中でもっとも取り入れやすい例として「塗装」についてお話ししました。安全で扱いやすい塗料を選べば、素人でも施工自体は可能です。
ただし「できる」と「現実的にやり切れる」は別問題です。最大のハードルは、施工にかかる手間と時間でしょう。工事費を抑えられる一方で、何週間も週末がつぶれることも珍しくありません。実際に、途中で「全部は塗り切れない」とあきらめた例もあるのです。
では具体的にどれくらい時間が必要なのでしょうか。
例えば6畳間の壁と天井を塗る場合、まず丸1日はかかると見込んでください。塗装は2〜3回塗り重ねなければ仕上がりがきれいにならず、その間、前の塗装がしっかり乾くまで半日は待たなければなりません。さらに、塗る前には「マスキング」という養生作業が必要です。床や窓に塗料がつかないようビニールやテープで覆うのですが、これも半日程度かかります。しかも6畳間では作業できる人数が限られるため、人手を増やしても大きな効率化は期待できません。
DIYを導入するなら「費用が安くなる」だけでなく、「手間と時間をどこまで割けるか」を冷静に見積もることが大切です。現実を踏まえたうえで計画すれば、DIYは暮らしにうまく組み込むことができるはずです。
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建築家不動産 団地不動産担当 吉永健一
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