2026年1月7日水曜日

団地は空き家だらけ?UR賃貸と分譲団地で異なる空き家の事情|連載:暗く考えてない?実は明るい団地の暮らし

団地とリノベーションに詳しい建築家/不動産屋の吉永です。

「団地は人気がなく、空き家だらけなのではないか」と思われている方も多いのではないでしょうか。
たしかに、立地条件があまり良くない団地では、そうした傾向が見られる場合もあります。しかし、すべての団地がそうだというわけではありません。

UR新千里北町団地

一昔前には空き住戸が目立っていたUR賃貸の団地も、近年は状況が大きく変わっています。物価高が続く一方で収入はなかなか増えないという社会状況の中、リーズナブルな家賃で住める団地の価値が見直されてきたためです。その結果、現在では空き住戸が大幅に減っています。

UR新千里北町団地

特に駅から徒歩圏内に立地する団地では、空き住戸がゼロ、もしくは数戸しかないというケースも珍しくありません。大阪における賃貸住宅全体の空き家率は10〜20%程度と言われていますが、総戸数が1,000戸を超える団地であっても、空き住戸が数十戸しかない例もあります。こうした状況を見ると、団地は賃貸住宅の中でも比較的空き家の少ない住宅形態だと言えるでしょう。

UR新千里北町団地

一方で、分譲団地はどうでしょうか。夜に訪れると、窓に明かりがついていない住戸が目立つ分譲団地も少なくありません。
例えば、堺市北区にある新金岡団地は、最寄りの大阪メトロ御堂筋線・新金岡駅から近く、商業施設や病院もそろった利便性の高い立地にあり、根強い人気があります。それにもかかわらず、夜に訪れると空き家が多いような印象を受けます。

新金岡団地

実際に団地不動産には販売中住戸の問い合わせが入りますが、夜の印象とは裏腹に、売りに出されている住戸数はそれほど多くありません。地元の不動産会社に話を聞くと、「住んでいなくても、なかなか売りに出されない」のが実情だそうです。その理由としては、「親の代からの家財がそのまま残っている」「売却しても高値が期待できない」といった事情が挙げられます。
つまり、分譲団地の空き家問題は、「人気がないから」ではなく、空き家であっても市場に出てこないことが大きな要因なのです。

新金岡団地

以上から、「空き家だらけ」「空き家だらけなのは人気がないから」と思い込んで、最初から団地を住宅の選択肢から外してしまうのはとてももったいないことなのです。

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2025年12月24日水曜日

UR賃貸の団地はリノベーションしないと住めない?実際の内覧で分かること|連載:暗く考えてない?実は明るい団地の暮らし|

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。

UR賃貸の入居希望者からの問い合わせでは、「リノベーション住戸を希望」と記載されているケースが非常に多く見られます。

背景を伺うと、「団地は古く、内装や設備も昔のままなのではないか」というイメージを持たれていることが、その理由になっているようです。

花園団地 通常の住戸

しかし、UR賃貸の団地では、前の入居者が退去した後に必ず室内のクリーニングが行われます。さらに、定期的に内装や設備機器の更新も実施されており、現在の生活水準に合った仕様へと整えられています。必ずしも「リノベーション住戸」でなければ快適に住めない、というわけではありません。

新千里東町団地 通常の住戸

実際にUR賃貸の団地へ内覧にお連れすると、リノベーション住戸ではない通常の住戸であっても、「想像していたよりもずっときれい」「これなら十分」という声をいただくことがほとんどです。

総持寺団地 通常の住戸

「団地は古い」「住むならリノベーション住戸しかない」と思い込み、選択肢を狭めてしまうのは、実はとてももったいない判断かもしれません。

UR賃貸を検討されている方は、まず一度、実際の団地住戸を内覧し、ご自身の目で確かめてみることをおすすめします。

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2025年12月16日火曜日

古い団地は地震に弱い?|連載:暗く考えてない?実は明るい団地の暮らし|

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。

「古い団地は、大きな地震が来たら壊れてしまうのではないか」
そんな不安の声を耳にすることがあります。では、実際のところはどうなのでしょうか。

ここでは、UR賃貸住宅の公式ホームページで公表されている情報をもとに、団地の耐震性について、できるだけわかりやすく整理してみます。

大きな地震のとき、URの団地はどうだったのか
URでは、阪神・淡路大震災や東日本大震災の際の被害状況について、次のように公表しています。
平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災では最大で震度7の大規模地震を経験しましたが、UR賃貸住宅では、住宅階に大きな被害を受けた事例はなく、ごく一部の棟でピロティ階の柱の破壊が見られたものの、人命に係る被害はありませんでした。また、平成23年3月に東日本大震災が発生しましたが、住宅階及びピロティ階ともに大きな被害を受けた事例はありませんでした。

なぜ、古い団地でも大丈夫だったのか
中には、現在の耐震基準より前の「旧耐震基準」で建てられた団地もあります。それでも大きな被害が出なかった理由について、URでは次のように説明しています。
旧耐震基準で建設したUR賃貸住宅においても、大震災時にも大きな被害を受けなかったのは、旧耐震基準上必要とされる耐震性を確保していることに加えて、1戸1戸の住宅の境に耐震上有効な壁が規則的に配置されていることによって、安全上の余力があったためと考えられています。
※以上元ページはこちら→



今も続けられている耐震診断と対策
URでは、さらに安全性を高めるため、耐震診断を継続して行っています。令和7年3月時点で、その実施率は約99%に達しています。

耐震診断の結果は、団地ごと・棟ごとにUR賃貸住宅のホームページで公表されています。
こちら→住棟毎の耐震診断結果について

耐震性に不安がある場合は、診断結果で
「Ⅳ:所要の耐震性を満たしており、耐震改修は不要」
と判定された建物であれば、安心して住むことができます。

また、補強が必要と判断された建物については、建て替えや耐震補強工事が順次進められており、令和7年3月末時点での耐震化率は約96%となっています。

▽耐震補強の例(東豊中第2団地)



「古い団地=危険」ではない
こうした情報を見ると、UR賃貸住宅は、築年数が古い団地であっても、耐震性についてきちんと確認・対策が行われており、今後も安全性が高められていくことがわかります。

これほど詳しく耐震診断の結果を公開している例は、民間の賃貸住宅や分譲マンションでは、あまり多くありません。

耐震性が心配だからという理由だけで、団地を住まいの選択肢から外してしまうのは、実はもったいないことなのです。

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2025年12月10日水曜日

「団地を買ってリノベーション」記事リスト

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。

2024年から2025年11月まで当ブログにて連載してきた『団地を買ってリノベーションの記事リストを作成しました。

団地を買うところから、リノベーションして引き渡しを受け
るまでの全プロセスについて解説しています。協力してもらう不動産、設計、工務店の選ぶコツについても書いています。

団地を買う方、リノベーションする方はどうぞご参考にしてください。

2025年12月9日火曜日

高齢化する本当の理由は「住み心地のよさ」だった|連載:暗く考えてない?実は明るい団地の暮らし|

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。

前回の記事では多摩ニュータウンを例に20,30代の入居が増えていることについて書きました。若い世代の流入によって、長年課題とされてきた高齢化が自然に解消されるかもしれません。

とはいえ、現時点で高齢化率が高いのは事実です。しかし、団地がなぜ高齢化したのか、その背景をたどると、高齢化は必ずしもネガティブな現象ではないことが見えてきます。


何十年も団地に住んでいる方に話を聞くと、必ずといっていいほど「こんないいところ、出ていきたくない」という言葉が返ってきます。家賃の理由もあるとはいえ、団地は“仕方なく住む場所”では決してありません。

UR都市機構の前身、日本住宅公団のOBの方によれば、当初は入居後15年ほどで戸建てや民間マンションへ移り住むと想定していたそうです。しかし実際には、高齢になるまで数十年住みつづける人が多く、当時の関係者にとっては想像もしていない結果だったといいます。

団地の間取りでは二世帯居住が難しいため、親世代が「こんないいところを出ていきたくない」と住み続ければ、子ども世代は団地を出ざるを得ません。こうして高齢世帯の比率が増え、自然と高齢化が進むことになります。


一方で、子どもが巣立ち、老夫婦には家が大きすぎると感じて引っ越すタイミングで団地を選ぶ人も少なくありません。家賃が手頃で保証人が不要のUR賃貸は、新居として魅力的な選択肢です。駅から多少遠くても、通勤の必要はなくなり、商業施設や医療施設は徒歩圏内にそろっています。高齢期の暮らしとして十分な利便性があるのです。これも団地の高齢化を押し上げる要因ですが、メディアが語るような悲観的な状況とは大きく異なります。

つまり、団地の高齢化とは、住まいとしての団地の“住み心地のよさ”が生み出した結果でもあるのです。


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