2025年7月8日火曜日

団地リノベーションの設計の進め方|リノベで配管を目立たせない!団地ならではの工夫ポイント その1

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。

設備を現状の位置から別の場所へ移設する場合、コストを抑えた設計をしていると、途中でどうしても配管や配線を露出させざるを得ないことがあります。スケルトンにして床・壁・天井をすべて作り直すのであれば隠すことができますが、既存の床・壁・天井を残したまま工事を行う場合、移設した設備までの配管が隠しきれず、どうしても露出してしまいます。


また、団地はそもそも配管を露出させる前提で設計されていることが多く、これまでの改修で既に露出しているケースも少なくありません。せっかくリノベーションをするなら、できる限り配管を露出させたくありませんし、やむを得ず露出させる場合も目立たないようにしたいものです。そこで、いくつかの工夫をご紹介しましょう。


例えば、天井を改修せずに照明の位置だけを移動させたい場合、元の引っ掛けシーリングから露出配線を延ばし、新しい場所に引っ掛けシーリングを設置するケースが多いです。これを避ける一つの方法として、既存の引っ掛けシーリングに取り付けられるダクトレールを設置する手があります。これなら配線を露出させずに済みますし、ダクトレールの範囲内で照明を自由に動かすことができます。













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2025年6月26日木曜日

団地リノベーションの設計の進め方|狭い洗面脱衣室を広く使えるようにするには

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。

今回は、洗面脱衣室のリノベーションについてお話しします。

昭和30〜40年代に建てられた団地では、洗面脱衣室に洗濯機を置く想定がされていないことが多く、洗面台・洗濯機・収納などをすべて設置するにはスペース的に厳しいことがあります。では、どのように対応すればよいのでしょうか。


ひとつ目の方法は、洗濯機を別の場所に置くことです。前回のブログでも触れましたが、配管が許す限り、洗濯機置き場の移動は可能です。たとえば、キッチンの横や、洗面所近くの収納内などに設けることが考えられます。



ふたつ目は、洗面台の位置を脱衣室とは別の場所にする方法です。近年では、コロナ禍をきっかけに、玄関近くに手洗いを設ける例も増えてきました。脱衣室は浴室のすぐ隣に必要ですが、洗面台については必ずしも脱衣室内である必要はありません。


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2025年6月17日火曜日

団地リノベーションの設計の進め方|排水管が決める、洗濯機の居場所

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。

今回は洗濯機置き場の話です。昭和30〜40年代に建てられた団地には、もともと洗濯機置き場が設けられていません。そのため、現代の生活に合わせるには、新たに洗濯機置き場を設ける必要があります。では、どこに設ければよいのでしょうか。


排水可能な排水管を部屋のどこまで延ばせるかがポイントとなります。洗濯機の排水は、キッチンや洗面器の排水管につないで流します。脱衣室に近い洗面器のそばに洗濯機を置くのが理想的ですが、排水管の高さなどの制約によって、それが難しいこともあります。



その場合は、キッチンの排水管に接続することになりますので、キッチンから遠い場所に置くのは難しくなります。そうであれば、いっそのことキッチンの横に洗濯機を設置し、家事スペースを集約することで、家事がしやすいレイアウトにするという選択肢も考えられます。


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2025年6月11日水曜日

団地リノベーション設計の進め方|キッチンはどこまで動かせる?

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。

今回は、団地のリノベーションにおけるキッチンの改装、その中でも「今の位置からどれくらい動かせるか」についてお話しします。

キッチンは、配管の条件が整えば基本的には好きな場所に動かすことができます。でも、実際には“どこまでなら無理なく動かせるか”がポイントになります。

改装前-レイアウトは壁付のI型

改装後-レイアウトはペニンシュラ型+二型

シンクについては、排水がきちんと流れるための傾き(勾配)が取れる範囲であれば移動が可能です。だいたい2〜3メートルくらいが目安でしょうか。そのために床を少し上げたり、壁を作ったりする必要が出てくることもあります。そうすると、段差があってちょっと使いにくくなったりする可能性もあります。

ベランダへのサッシ手前に配管を通すための段差がある

換気扇の位置をどこまで動かせるかも重要なポイントです。壁付きの既存の換気扇は、コンロの上に設置されていることが多いです。この位置から大きく動かそうとすると、換気扇からコンロまでダクトと呼ばれる換気用のパイプを通さなければなりません。頭の高さくらいに直径20センチ程度のパイプが通るため、位置によっては普段の生活で不便を感じることがあります。

コンロ位置の変更に伴いダクトを通した例

使いやすいようにキッチンの位置を変えたために使いづらくなっては本末転倒ですので注意が必要です。

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2025年6月3日火曜日

団地リノベーション設計の進め方|築40年でもまだ使える?団地トイレの再利用と交換の判断ポイント

団地に詳しい建築家、団地不動産の吉永です。
今回は、団地リノベーションにおけるトイレ改修についてご紹介します。

改装後(1960年代新築当時の便器そのままで内装のみ改装)

以前からついている便器をそのまま使う例も少なくありません。築40年超でも清掃すれば問題なく使える例もよく見ます。衛生面が気になる場合や、ウォシュレットを取り付けたい場合などは、便座のみを交換する方法もあります。便器を丸ごと交換しなくても快適に使えるケースも少なくありません。

改装前

改装後(便座のみ交換)

タンクレスタイプの便器は見た目がすっきりして人気ですが、水道の水圧が十分でないと、正常に機能しない可能性があります。団地では水圧が低めなことが多いため、タンク付きタイプの採用をおすすめします。

改装前

改装後(改装前と同じくタンク付きタイプ))

団地では排水管が床下ではなく床上にあることが多いため、便器の位置を大きく動かすのは難しい場合があります。
排水には勾配(角度)が必要で、便器の高さを確保しなければ排水がうまく流れません。床下に排水管があれば多少の調整は可能ですが、床上配管では調整の余地が限られます。そのため、現在の位置から大きく動かすのは避けるのが無難です。方向を少し変える程度であれば、対応できる場合もあります。

改装前
改装後(便器の向きを変更)

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