これまで、UR賃貸と公営住宅の「募集方法」と「収入基準」の違いについてお話ししてきました。今回は、家賃の違いについてです。
一見すると、どちらも「公的な団地だから家賃が安い」というイメージがありますが、家賃の決まり方は大きく異なります。
| 八潮パークタウン。都営住宅、UR賃貸住宅ほか異なる事業主体による団地が建っている。 |
公営住宅は「低廉な家賃」が基本
公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して、低廉な家賃で住宅を提供することを目的としています。
そのため、家賃は入居者の収入に応じて決まる「応能」の考え方が基本です。
つまり、
公営住宅=住宅に困っている人に、負担できる家賃で住宅を提供する
という仕組みです。
UR賃貸は「市場家賃」が基本
これに対してUR賃貸住宅は、基本的に市場家賃です。
「URは家賃が安いけれど、それは住宅に困っている人のためではないの?」
と思われるかもしれません。
URの前身である日本住宅公団は、戦後の住宅難の解消に加え、当時としては先進的な住宅を供給する役割を担っていました。公営住宅が低額所得者を対象とする一方、住宅公団は中間所得層を主な対象としてきたのです。
そのため、当初から必ずしも「家賃の安い住宅」だったわけではありません。
現在のURでは、市場家賃を基本として家賃が設定されています。一方で、既存住宅の家賃は段階的に改定されてきたため、築年数の古いURには、現在の市場家賃と比べて割安に感じられる住宅が残っています。
URと公営住宅の役割が近づいている?
制度上は、
公営住宅=低額所得者のための住宅
UR賃貸=市場家賃を基本とする賃貸住宅
という違いがあります。
ところが、築古のURには、広くて比較的リーズナブルな住宅があります。そのため現在では、URも「できるだけ住居費を抑えたい」という人にとって、重要な選択肢になっています。
公営住宅は、前回お話しした通り、収入基準が厳しく、入居も抽選になる場合が多いため、希望どおりに入居することが難しいケースがあります。
その中で、公営住宅の収入基準ほど生活が厳しいわけではないけれど、生活費の高騰などから、住まいの質を大きく下げずに家賃をなるべく抑えたい…そんな人にとって、URは住宅セーフティネットの一つになりつつあるのではないでしょうか。